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日本最南端の出版社南山舎

第1回「南山舎やいま文化大賞」受賞作品発表


「与那国台湾往来記/ボーダーに暮らすドゥナントゥたち/黒潮両岸交流史」

松田良孝(まつだ・よしたか)
1969年2月、埼玉県大宮市(現・さいたま市北区)生まれ。北海道大学農学部卒。1991年4月に十勝毎日新聞社(本社北海道帯広市)に入社し、政経部記者。1993年2月から八重山毎日新聞(本社沖縄県石垣市)の編集部記者。『八重山の台湾人』(2004年/南山舎)で第25回沖縄タイムス出版文化賞(正賞)を受賞。『台湾疎開』(2010年/南山舎)のもととなった『八重山毎日新聞』の連載記事「生還―ひもじくて “八重山難民”の証言」では2010年の新聞労連第14回ジャーナリスト大賞を受賞。

【講評】
 本作品は、『八重山毎日新聞』に2011年1月1日〜12月30日まで掲載された連載記事「海で西へつながる どぅなんとぅ 台湾がたり」を修加筆したものである。このようにまとまった形で手にすると、その連載のねらいが克明になり、ずいぶんと読み応えを覚えた。
 本稿の特徴として著者は、‥事者たちの語りを中心として、そのライフヒストリーを描き出しながら与那国と台湾との関わりを描出したこと。◆崙団蠅硫糸(密貿易)」に問題を絞るのではなく、「縦糸(台湾で植民地統治が行われた50年間とその前後)」にそって、与那国と台湾との関わりの歴史を描き出そうとしたこと。A敷監酳など台湾の3カ所に注目し、その成り立ちとそこに生活する与那国・沖縄の漁業従事者を中心とする人々のあり方、台湾社会の与那国・八重山・沖縄に及ぼした影響を描出すること。ち敷監酳にあった「琉球人集落」について初めて明らかにしたこと、の4点を挙げている(「要旨」をリライト)。いずれも本書の達成したこととして正当であり、高く評価できる。
 著者がこの著作を始めた動機は、今や与那国の人々においてもかつての台湾とのつながりの記憶が薄れてきていることに危機感をもったことにある。著者はこれを「与那国と台湾の間に深い関わりがあるという歴史的な事実は、このままでいくと自明のことではなくなってしまうのではないか。焦りにも似たこの感情が筆者に本稿をまとめさせる動機になった」(「要旨」)とのべている。
 ところで、著者が、この与那国と台湾との間にあった歴史的な関わりに注目するのはなぜであろうか。これについて著者は明確には語っていない。しかし、国境というものは国家の政治的な作為によってもたらされるものであり、本来、異なった国同士にあっても、人々の関わりはそれ(国境)を画定する必然性を持たなかったこと。このことに思いをいたせば、現在の国際問題(国境問題)というものが、近代社会の成立以降に、国家によって仕組まれたものであるということもまた明らかである。著者の本来の意図はここにあるように観じられる。その意味でも、現在の八重山・沖縄そして、日本という国家の、尖閣列島問題への対処の仕方について、本書は一つの示唆を与えるものとなっているはずである。
 本稿は、完成度は高く、読みやすくもあり、大方の読者を納得させるものと判断される。また、一般読者のみでなく、史資料の調査もよく行われており、新しい資料も初めて提示されており、専門的研究者にとっても新しい知見を与えるものである。これらのことから、本稿は「南山舎やいま文化大賞」の受賞作に相応しいものと判断する。

 

「八重山琉米文化会館 の活動スケッチ」

飯田泰彦(いいだ・やすひこ)
1967年生、滋賀県出身。
1994年、沖縄国際大学文学部国文学科卒業。
1996年、沖縄県立芸術大学大学民族芸術学音楽課卒業。
1998年、映像工場入社(1999年退社)。
1999年、石垣市立図書館臨時職員(2005年離職)。
2006年、NPOたきどぅん就職(2008年離職)。
2008年、竹富町総務課町史編集係(嘱託)。
2009年、竹富町教育委員会総務課町史編集係(現在に至る)

【講評】
 大変ユニークな視点をもった意欲的な論考である。八重山の図書館活動、図書館行政、あるいは文化行政が大きな危機的状況、転機を迎えている現在、本論考はきわめて今日的な意義があるあると思われる。八重山の図書館史、八重山文芸復興期における琉米文化会館の果たした役割と歴史的意義について具体的、体系的に論じたものとしては、これまでのなかでも秀逸のものと思われる。文芸復興を文芸活動だけを切り離して考えるのは誤っているという視点もうなずける。
 また、宣撫活動の一環として琉米文化会館を設置した米軍の思惑に対して、これまでの古波蔵剛、山根頼子らの研究の成果に立って、アメリカ統治下にあっても、文化を渇望する人々の姿をとらえ、「八重山戦後史の一面を浮き上がらせてみたい」(作品3P21〜23行目)という著者のねらいはほぼ成功している。
 特に第2章は、八重山琉米文化会館の活動の実体を「与儀玄一資料」や新聞資料によって詳細に活動内容を具体的に明らかにし、その前期と後期に分けて特質を考察しており、すぐれた内容となっている。
 残念なのは、新聞資料と聞き取りをもう少し活用し、不明の典拠資料の調査や当時の職員の意識を深く分析してほしかった。たとえば、与儀氏のほか、草創期の職員である山里節子氏、名嘉地義昭氏、利用関係者である登野城ルリ子氏などの聞き取りを少しでも取り入れれば、さらに充実した内容になったと思われる。また、米軍の宣撫耕作と『守礼の光』『今日の琉球』関係について、その配布をした文館職員の意識や住民の反応(同誌への投稿…池城安伸ほか)などについても考察がほしかった。
 しかしこのような克服すべき弱点もあるが、テーマの斬新性、戦後八重山における文化活動の拠点となった琉米文化会館の役割を解明するという研究の重要性を評価して、研究奨励の意味で優秀賞を贈ることに決定した。

 

「南の島のキャンプ家族」

箕田律子(みのだ・りつこ)
1954年 東京に生まれる。
1977年 埼玉大学教育学部卒業。
1977年〜横浜で小学校教員を勤める。
1982年〜1984年 青年海外協力隊に参加 タイに派遣される。
バンコクのボピッピム短大外国語学部で日本語を教える。
1984年 帰国。
1985年 協力隊員OBと結婚。石垣市に移住。現在に至る。
著書 
1989年 「新婚旅行は無人島」(草思社)
【講評】
 この作品はインターネット上の著者のブログで2009年10月から公開され、現在もその続編が進行中である。これを一つの作品として首尾一貫する形にまとめたのが本作品である。
 八重山を舞台にした、肩のこらない読み物として評価した。本土から渡ってきた著者家族の生活を「キャンプ」をキーワードに綴った作品で、エンターテインメント性に富んだ作品である。読者一般の興味をそそる内容が歯切れのいい文章で繰り広げられ、時にはハラハラ・ドキドキする場面もある。取り上げられたのは、\症十鎮妊ャンプ行、∪亞静腓砲ける広大な牧場の管理と従業員たちとのやりとり、子どもの出産、そして子どもを巻き込んだ遭難、などである。
 西表島や石垣島の自然・動植物などが細かく記述されており、また、亜熱帯の山川・原生林内でのキャンプの仕方、サバイバルの方法など野外活動の豊富な知識が盛り込まれており、フィールドの好きな読者に、当地を訪ねてみたいと思わせる作品ともなっている。
 ただ、作品全体として、八重山という風土と人のにおいが感じられないのが、「大賞」の対象作品としては弱点となっている。作品の舞台は八重山であるが、それが八重山であるべき必然性が希薄であるとも感じられる。今回はそのエンターテインメント性とそれを支える筆力を評価して優秀賞に決定した。八重山のかおりの染みでるような、次の作品に期待したいと思う。


 

第2回「南山舎やいま文化大賞」受賞作品発表


「アジアから見た八重山の海」

小菅 丈治(こすげ たけはる)
1964年東京生まれ。
海の生き物の研究をすることを志し、
1983年京都大学理学部に入学。同年初めて八重山を訪れる。
卒業後、沖縄の海の生き物を研究することにし、琉球大学理学部生物学科の大学院へ。1987年から1993年まで沖縄在。
ミナミチゴガニなど海辺のカニと貝の研究にいそしむ。
1993年理学博士号取得(九州大学)
1994年より西海区(せいかいく)水産研究所勤務。2年間の長崎勤務(有明海の干潟の生物研究など)の後、1996年から石垣支所配属。
1999年より1年間オーストラリア・クインズランド州立博物館に派遣される。
2008年より国際マングローブ生態系協会主任研究員。東海大学沖縄地域研究センター研究員、放送大学非常勤講師(「アジアから見た沖縄の海」を開講)
2010年より3年間 株式会社テツゲン社員としてベトナムに出向「アジア熱帯養殖研究所」副所長としてエビ養殖の現場に携わる。
2013年帰国。4月より石垣青少年の家(指定管理者NPO法人八重山星の会)事務長。(現在に至る)
「アジアからの視点」「熱帯から見た沖縄」をテーマに海岸動物の研究に取り組み、成果を論文として公表するほか、学校教育や自然観察会を通した普及活動にも取り組んでいる。
<著書>
「有明海の生き物たち」佐藤正典編, 海游舎, 2000年 共著
「南の島の自然誌-沖縄と小笠原の海洋生物研究のフィールドから-」矢野和成, 編,. 東海大学出版会, 2005年 共著
<執筆協力>
「干潟の図鑑」財団法人日本自然保護協会,ポプラ社,東京,2007年.
「名蔵アンパルガイドブック」名蔵アンパルガイドブック制作委員会編,
石垣市市民保健部環境課,2013年
学術雑誌などへの公表論文多数(八重山の生物に関する論文100編を含む)。


-講評-

【作品のテーマ・目的と方法】
 本作品のテーマは「八重山の自然は本来、熱帯の視座から読み解かれるべきであろう。本書は、主として八重山より南の東南アジア海域での生き物の生態、人との関わりを記述し、そうした知識を前提に改めて八重山の自然を観るとどう見えてくるかに重きを置いた(まえがき)」ものである。
 この目的を達するため、魚・イカ、そして貝や蟹などの海の小動物を主人公にして、著者の長年にわたる現地滞在による観察と研究室における調査・研究によって得られた結果を、読みやすい文章で報告している。
 全体として、八重山の海の動物たちが遠く熱帯アジアの海の動物と相関わりながら、地球的規模の時間を(あるものは現在まで、そして、あるものは、今から700年前までの時代を)生きてきたことを、読みやすい文章のなかから教えてくれている。

【作品の構成】
 本作品は「まえがき 熱帯の視座から」から始まって「あとがき 理(ことわり)は世代を超えて」までの間に「1,たどりつく場所としての島―オカガニ達の夜」以下「27,安南の記憶―海を越えたつながり」の本論と「芭蕉の一房」「ウチワフグとオーギバー」「ウムズナーの楽園」「『ミャンマー海』を見に」の4つのコラムを配している。
 本論部は、海生動物に焦点をあてた「理系エッセイ」とでも表することのできる、27の文章を列挙する。取り上げられる主な動物を標題から拾うと、オカガニ、あまん(ヤドカリ)、クロマグロ、ソデイカ、オウムガイ、アカマチ、ウチワフグ、マドガイ、スナヒトデ、蟹、チゴガニ、「兵隊ガニ」、ミナミコメツキガニ、 ウムズナー、ヤドカリ、アマオブネガイなどで、本文に名前の出る海生動物の名前は相当数にのぼる。
 各節は平均6千字程度の文章と1ページ程の図版(写真と図)よりなっている。図版・写真は取り上げられている貝・蟹などの小動物についてほとんどもれなくフォローしており、読者の理解を助けるものになっている。

【評価】
 人文系科学を専攻する者にとっても、文句なしに面白い読み物である。八重山の海や浜に住む魚・貝・蟹などの小動物の生態について面白く、かつ、眼前にみるように詳しく、そして、わかりやすく説明してくれ、楽しみながら学ぶ本となっている。
 小動物間の寄生・共生関係についてとりあげられた名蔵湾における動物の多様性(58p)などは、八重山の地が地球的規模でみてもユニークな地域であることを教えてくれる。そして、熱帯アジア、大陸の海浜動物と八重山のそれとの類同性が次々と解き明かされるのをみて、我が八重山の地球的位置づけについてもまた、納得させられる。その意味で、大きなスケールで八重山の島々の価値を教えてくれる作品であり、何故八重山の自然が特異なのか。何故八重山の自然は守られなければならないか。そのような疑問に対する答えのつまった作品と言ってよいだろう。
 そして、この大部の著作の結論として示される「人の世を超えて存在する生き物たちの『理』。その理屈を読み解かなくして、世代を超えた自然とのつきあいは成り立たないともいえる。つきあい方を知るには、自然から学ぶほかはない。そうして授かった知恵を子孫に伝えることこそ、ヒトとしての本質的な生き方、与えられた命という時間の本来の、または自然の意に沿った使い方だと言えないだろうか(あとがき)」という見解は、十分説得的である。
 なお、目次に所載ページがないことは注意すべきである。また、所出動物・植物名の一覧および索引が付いていればなお良かったと思う。単行本化の際には是非実現して欲しいと思う。
 このように本著作は上質な科学エッセイ集である。今年度の南山舎やいま文化大賞の大賞受賞作品と決定した次第である。

 
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