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台湾を知ろう!文献紹介

文 = 越智郁乃


もっと知りたい台湾 第2版

 若林正丈編/弘文堂/1998年 2,415円
 近いけれども、よく知らない台湾。どのような歴史をもつのか、どのような民族が住み何語を話すのか、どのような宗教でいかなる年中行事を行うのかといった台湾の基礎的な知識が項目ごとに押さえられている。さらに、新聞やテレビといったマス・メディア、教育制度の歴史と現状、文学の発展から見る植民地期の日本の影響とその後の中国語文学との関わりや民主化運動についても知ることができる。ポップ・カルチャーやキャリア志向の女性の一日を通じてみる教育のあり方や家事・育児・介護への女性の関与は、日本との比較もなされていて興味深い。1980年代以降の民主化による政治経済、外交面での中国や日本とのやり取りに関する記述からは、現在盛んに報道される領土問題の「根本」と「ねじれ」を読み解くことができるだろう。読者それぞれの「もっと知りたい台湾」を見つけ出す手がかりとなる最初の一冊としておすすめ。


台湾-変容し躊躇するアイデンティティ

 若林正丈/ちくま新書/2001年 798円
 中国大陸、東北アジア、東南アジアという三つの地理的かたまりで見たときにはそれぞれの周縁であり、西太平洋海域圏を一体のものと見ると中心となる台湾を地政学的に論じた一冊。17世紀、貿易基地として最初に手をつけたのはヨーロッパ商人だったが、その後清朝の版図に組み込まれる。漢族移民の波から先住民族を含む多重民族社会へと変化し、日本の植民地支配を受ける中で徐々に「台湾」としてのまとまりは形成された。一貫して複数の国の国防上の重要地点であった台湾は、戦後特に台湾(中華民国)政府と米国、中国、そして日本との政治経済的力学に左右され、政治の民主化とともに変化した複雑な国家としてのアイデンティティに悩む。東アジアの安全保障問題と深く関係する台湾の政治的な動きを、蒋介石、その息子の経国、そして李登輝の詳細な政権運営を軸に述べ、複雑な台湾社会の政治的様相を詳細に示している著作である。


図説 台湾の歴史

 周婉窈箸/石川豪・中西美貴訳、濱島敦俊監訳/平凡社/2007年 2940円
 台湾人が台湾の歴史を100年にわたって学ぶことができなかったと言ったら、日本の読者は困惑するだろう。台湾出身の筆者である周が本書の「日本語版への序文」において、日本の植民地支配の50年と戦後50年の当局による取締りと資料不足から、台湾人による歴史を書くことが難しかった状況を語っている。そのような理由から、当初台湾で出版された中国語版は先史時代から1945年8月15日までの取り扱いのみであったが、日本語版出版に際し戦後篇が書き加えられたことの意義は台湾にとっても日本にとっても大きい。特に植民地支配以降の「泥沼」と表現された2・28事件、「白色テロ」時代の当局による政治的弾圧の様相が書かれた本書は、地政学的な歴史とは異なり台湾内部の視点からその恐怖を克明に記述している。反政府運動に散った若者たちの在りし日の写真が切ない。表題通り写真等の図説が豊富で、歴史を視覚で感じることができる一冊でもある。


台湾疎開 「琉球難民」の1年11カ月

 松田良孝/南山舎/2010年 2,415円
 太平洋戦争終結65年の節目を翌年に控え八重山毎日新聞紙上で連載された記事「生還-ひもじくて“八重山難民”の証言」を基にした著作。植民地期台湾への疎開を経験した人々の証言と戦中・戦後史を軸に、疎開者帰還船の運航のために尽力した人々の記録、そしてかつての疎開先であった地域を筆者が訪れ、地元の人々から聞き取った当時の疎開者にまつわる記憶から構成されている。疎開先での生活は、飢えとマラリアをはじめとする病との闘いであり、亡くなった人も少なくない。戦争が終わった後も、無政府状態の台湾から引き揚げ船に乗るまでの移動の途上、さらには船上で見舞われる嵐の中と常に生死の境にいた疎開者の切迫感に満ちている。植民地期台湾から八重山に渡ってきた台湾人、そしてその子孫である台湾系住民の人生史と歴史の交錯を描いた『八重山の台湾人』(南山舎2004年)も併せて読みたい。


台湾に生きている「日本」

 片倉佳史/祥伝社新書/2009年 945円
 50年という長い台湾の植民統治期には、日本により多くの近代化政策が行われ、たくさんの日本人が日本さながらに生活していた。行政施設、商業施設、道路、列車などの乗り物、神社、二宮尊徳などの銅像、日本家屋、そして日本語、日本語の歌、…。戦後の統治者となった国民党政府はその痕跡を払拭・弾圧し、あえて見せしめとしての中途半端な破壊も行っている。その後の民主化の過程で、台湾史における植民地期50年が無視できない対象となり、1990年代以降郷土史ブームが発生した。2000年以降、台北市が独自に進める文化財保護制度の中で古蹟として指定されたものの中には、植民地期の日本建物も含まれる。建物以外に言葉や歌を含めて台湾に残る「植民地期日本の名残」をガイドするこの一冊。写真等の資料に加えて、台湾に残る日本語辞典(例:「ウロン」=うどん、「運ちゃん」=運転手)も添付されている。


明治の冒険科学者たち 新天地・台湾にかけた夢

 柳本通彦/新潮新書/2005年 735円
 明治維新を経て世界列強入りを目指す日本にとって、植民地獲得は悲願だった。植民地統治のため後藤新平や新渡戸稲造らが第一線の官吏として送り込まれ、台湾が内地近代化の試験場となる一方で、「首狩り族の現れる未開の土地」である山地に入り人類学、地理学、植物学等の研究者が決死の踏査を行った。伊納嘉矩と森丑之助、そして八重山調査も行った田代安定は、それぞれ歴史、生態、植物学と三者三様の研究ながら、ともに台湾先住民族に深く関わった。他の多くの研究者が一植民地として台湾を通り過ぎたのに対して、三名は台湾にこだわり続けた。彼らの人生史を通じて、帝国日本との関わりと台湾への熱い想いが筆者の想いに重ねて描かれる。一級の研究功績を残しながらも戦後はそれぞれの学界から黙殺されてきた背景には、旧植民地諸国支配に関わった人々が戦後消し去られてきた経緯があると筆者は述べる。彼らの研究の全貌を明らかにすることが、今後一層望まれる。


台湾女性史入門

 台湾女性史入門編纂委員会/人文書院/2008年 2,730円
 誰のための歴史か。『図説 台湾の歴史』における筆者の問いは、台湾女性史に対しても当てはまる。当初、清朝から家族の渡航を禁じられた漢族移民男性は先住民族女性と結婚したといわれる。漢族の家族移民が急増した後、伝統的家父長制の下で男尊女卑の考え方に支配され、女性は不当な処遇を強いられてきた。日本植民地化では女子教育が推進されるものの、女性家長の権限が強かった先住民族では伝統的な女性の地位が揺らぐ契機にもなった。戦争が終わると国民党政府の一群が押し寄せ民族間関係が複雑化する中で、1980年代以降の民主化運動の盛り上がりとともに自分たちを取り巻く問題に女性自ら立ち向かい、先住民族運動も活発化する。近年では東南アジア等からの国際結婚による「新移民女性」の急増も顕著だ。そのような女性史の中で本書は、婚姻、教育、女性運動や身体、文芸、先住民族といったテーマ別構成で時代を追う。女性の生の営みに寄り添った詳細な解説や、性労働、ドメスティック・バイオレンス、レズビアン等の項目を設けている点は他の台湾史に類をみない。


台湾経済読本

 渡辺利夫 朝元照雄 編著/勁草書房/2010年 2,940円
 17世紀のヨーロッパ商人に始まり、漢族移民、日本の植民地経営を経済史の観点からみると、台湾における開発・投資は地球規模での資源獲得競争の流れの一つであっただろう。「宝の島」台湾には虫除けの材料となる樟脳、耕作地となりうる土地などの自然資源、人的資源の魅力に溢れていたが、先住民族の抵抗や南方特有の病という資源獲得の代償は大きかった。戦後は国連脱退や多くの国々との国交断絶という危機に直面しながらも、逆に「台湾の奇跡」といわれる経済発展を遂げ、対中国、対日本関係が重要視されている状況にある台湾経済の過去と今をこの論文集は示している。コンピューター関連の高い技術力を誇る台湾市場の中での親族ネットワークによる企業連携、買収、そこに生き残りをかける日系企業等の動きが興味深い。


越智郁乃(おち・いくの)プロフィール
広島大学大学院総合科学研究科 研究員。広島大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(学術)。専攻‥文化人類学。論文に「遺骨の移動からみた祖先観ー現代沖縄社会における墓の移動に関する一考察ー」(『沖縄民俗研究』27号、2009年)、「墓と故郷ー現代沖縄における『墓の移動』を通じてー」(『アジア社会文化研究』9号、2008年)など。


 


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