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与那国島の太鼓

文=飯田泰彦

 与那国島の力強い太鼓の音には人間のプリミティブな感覚を呼び覚ますものがある。その本領は何といっても棒踊りの伴奏だろう。ウガンフトゥティ(豊年祭)では、太鼓を棒に吊るし、身体いっぱいを使って力強く打ち鳴らし、笛・鉦とともに棒踊りを囃子したてる。
 一見、棒踊りの演者が華やいで見えるが、棒座では棒の経験を経てきた鳴り物の担当者こそが指導的な立場にある。棒踊りの演技を支える鳴り物は、それだけに重要なポジションなのである。
 また、与那国島では祝宴の始まりをダーナラシ(座ならし)と称し、笛、鉦、太鼓の鳴り物で幕開けとなるのが通例である。その出演者はみんな素足で、ドゥタティ衣に藁縄の帯を締め、藁を数本束ねて鉢巻とした出で立ちである。最近は藁のかわりに花織手拭で鉢巻をすることも多い。
 ダーナラシのリズムを「ナナチンガニ」と呼ぶのは、拍子が七節でできているからともいわれている。このダーナラシが祖納東、祖納西、島仲、比川の地区ごとに独自の伝承がなされているのも与那国島らしい。それは芸能を伴う行事を「勝負事」ととらえる島民性によるものであろう。与那国島の芸能は互いに技や面白さを競い合って発展してきた側面がある。
 さて、この太鼓は丸木を刳り貫き、その胴の両面に牛の皮をかぶせるように張り、その縁の数箇所にアダンの木根で綯った紐を通して、両側の皮を互いに引っ張りあって締めたものである。これを全身で反動をつけながら、威勢のいい掛け声とともに打ち鳴らすのである。
 祝宴のみならず、太鼓をはじめとする鳴物は、すべてにおいて先駆けて演じられる。そして高々となり響く音が場を清め、人々の魂を鼓舞するのである。旗頭を起こすときや、祭事の道行では十字路ごとに太鼓を脇に抱えて打ち鳴らし、気勢をあげる役割を果たしている。
 ところで森田孫榮氏は、太鼓には「凄まじい呪的な力」が宿っており、それを打ち鳴らすことによって「神を招ぎおろし、また外敵悪霊を威嚇祓いのける」と論じている。首里王府編纂の神歌集『おもろさうし』には、桑木を材料に用いて鼓を造る過程をうたったオモロがある。また、粟国村のウムイ《キートマー》では、腕のいい細工人が造る鼓のことがうたわれている。このような由緒ある鼓だからこそ、神事を盛り立てたにちがいない。
 このような太鼓のマジカル・パワーに注目したとき、与那国島の民謡《神た世節》は興味深い。これが神代の時代にならって鼓を新調したことをうたった歌謡であるのは、「んかちどぅち かんたゆぬ まにどぅす」(昔年、神達の真似をする)という、冒頭詞からうかがえる。
 ある日、鼓の素材を求めて前の山に入ったところ、気に入る良材がなく、空しく帰宅したが、そこでマムティ蔓・石垣蔓に巻き覆われた、桑の木を見つけた。太鼓造りを細工人にお願いして、その桑木を伐採し、牛皮・馬皮を張ると見事な鼓ができあがったというのが具体的な内容である。
 つづいて、「とぅむとうてゃ いりむてぃにんちかりょり(一打ちには西表村までも聞かれ)/ たぁむとぅにや あんとりまでん ちかりょり(二打ちには網取村まで聞こえ)」とうたい、さらには「みむとぅてば てんまでん ちかりより(三回打てば天までも聞こえる)」というのである。そして、「ばがない かにん ばがちでん ゆぬすぶさ(我が鳴り物、我が鼓も同じ勝負である)」とうたい収めている。
 勝負するように張り合って、鳴り物と太鼓が共鳴して天にまで響きわたる様子を思わず想起してしまう。天地を揺るがすその音は私の胸にも地響きを立てるように迫ってくる。



>米城惠著『よみがえるドゥナン』
>与那国島の特産品・おみやげ・本

 


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