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トップ  >  コラムちゃんぷる〜  >  八重山全般  >  ハディク舞 ―煙草は恋の仲立ち―|八重山コラムちゃんぷる〜

ハディク舞 ―煙草は恋の仲立ち―

文=飯田泰彦

 沖縄本島で《嘉手久節》は《唐船ドーイ》と並びカチャーシーの定番曲だ。それが八重山では滑稽な踊りを伴い、黒島仲本集落と小浜島北集落に、各々独自の民俗芸能として定着している。
 前者を「ハディク舞」と呼ぶのは、k音がh音に変わる、黒島方言の音韻変化の法則に基づくからである。つまり、曲名が「カディク」→「ハディク」と変化したのである。
 黒島の舞踊「ハディク舞」の歌詞は、「嘉手久思鍋が/大和刻みぬ煙草/据きてうさぎらば/吹ちゃい給り」(嘉手久思鍋が、大和刻みの煙草を、据えますから、どうぞ吹いて下さい)で、奄美大島に由来するとのことである。普通、《嘉手久節》は、三線の擬音を表す囃子詞を挿入し、1首の琉歌を4節使って歌われる。
 ところで、琉歌集『琉歌百控』の「覧節流」(1795年)所収の《早嘉手久節》には、すでに煙草の縁結びをモチーフとした歌詞がみられ、「ハディク舞」の世界に通ずるものがある。
こと付け煙草のやりとりを歌った、「嘉手久思鍋か/こと付の多葉粉/又もこと付の/藻列煙草」(嘉手久村の思鍋がことづけてくれる煙草は嬉しい。またもことづけてくれる煙草の縁の睦まじさよ)が一つ。もう一つは「七葉あし多葉粉/髪ら組しちゆて/里と原隣ひ/行逢はたひもの」(七葉もある良い煙草を髪の毛のように細かく刻んで、畑隣の恋人に会ったら贈りたい)である。
 この真意は恋人と仲良く煙草で一服することにある。「煙草吹きイマラ/煙飲みユブサ」と、イマラ・ユブサの美人姉妹を煙草で口説こうとする、八重山民謡の大曲《越城節》も同想である。また、「船浮女童ぬ/御情ぬ煙草/肝にふき染みてぃ/伽にしやびら」(船浮乙女の御情の煙草が心に染みたのでお伽にしよう)と歌う《石ぬ屏風節》もしかり。つまり、煙草は恋の仲立ちなのだ。
 さて、煙草の持ち主はきまって色男である。歌舞伎で十数本の煙管を持ってきめる助六ばかりが色男でない。琉歌「久高前の浜に/けむり小の立ちゆす/久高西銘主が/たばこけむり」(久高前の浜に煙が立っている。あれは久高西銘主が煙草を吹かしている煙だよ)は、評判の西銘主をうたったものである。
 かつて、男達は恋の仲立ちとなる煙草やその道具、特に煙草入れに趣向を凝らして伊達を競った。近世、八重山の農民も木製のプゾー(煙草入れ)を身につけていた。時代が下ると「脇差」タイプの粋な煙草入れが登場したが、首里王府は「脇差」の使用を禁じて取り締った。それだけに、伊達男をきどった品のない男がプゾーを腰に下げて現れる、黒島の「ハディク舞」は色男・伊達男のパロディとしても捉えられる。
「ハディク舞」の女は隊列を組み、《嘉手久節》ではねるような運歩で出てくる。その出で立ちは黒のスディナに白のカカン、黒のウチクイ(風呂敷)を被り、クバ笠を持つ。クロキン(黒衣)に赤のサナジ(褌)姿の男は、女を追いかけるように登場。しばらく煙草を吹かし、酒を飲みながら、踊る女を見ている。やがて男は女に触れようと近づき、あれこれ動きまわる。ハディク舞は、男のちょっかいに女はクバ笠で胸元を隠しながら踊りつづける、異色の男女打組踊りである。男に決まった所作はなく、踊手によって動きも異なり、同じ踊手でも演ずる度に内容が変わるのも見物だ。
 結局、「ハディク舞」は一組ずつ男女のペアが成立する。やはり、恋の小道具、煙草の効力によるものであろうか。

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