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夢を追うキビ職人

石垣島PICKUP☆コラム「夢を追うキビ職人」

八重山基幹産業の両輪、サトウキビとパイン。サトウキビ産業が具体的な打開策を見出し、大転換期を迎えつつあるという。
石糖の入嵩西正治さんが呼びかけたキビの間作栽培は、28年来のキビ作を断念しかけていた入嵩西重春さんを奮い立たせた。
キビに夢をかける両入嵩西氏の挑戦から、八重山農業の展望を切り開くヒントが見えてきそうだ。

150%の成果

入嵩西重春さんは就農歴28年のベテラン農家。様々な事情から離農を考えた今年のはじめ、石糖の入嵩西正治さんに「自信がある。責任は取るから実験的にやってみてくれないか」と、正治さんが発明した「側枝ポット苗」での間作栽培を持ちかけられた。
「そこまで言うなら新しいことをしてみようか」とりあえずキビ畑20aで挑戦した。結果は「今年の夏植えは10倍の2haに広げたい」と言うほどの成功だった。「農業に100%の見返りを期待するなんてとんでもないと思っていましたが…。実際に体験した者として、150%の成果があったと言えます」正治さんと重春さんの顔がほころんだ。
これは、正治さんの緻密でねばり強い研究と農業全般への深い見識、重春さんの英断と経験に固執しない柔軟な姿勢がガッチリ手を結んだことで叶ったのである。
ではこの成功を産んだ「間作・二条植え・側枝ポット苗」を大ざっぱに勉強してみよう。

間作栽培のねらいと背景

【参考資料/さとうきびを中心とした間作体系について 提供/石垣島製糖】

1.土地の高度利用

間作(キビとキビの畝間に野菜を育てる)導入で土地利用度を高め、農家生活を安定向上させる。
10a当たりの間作作物の粗収益は、現段階ではカボチャの55万円を最高に、ほとんどが予想額を上回った。

2.二条植えとは?
10aのキビ畑があるとする。従来の一条植(1畝に1列)では150cm幅の畝が7畝できる。1畝に250株植えるとすれば7×250で10a当たり1750株。
これを二条植(1畝に2列)で間作した場合。1本の畝幅を倍の300cmと考え、うち幅40cmにキビを二条植えする。残る260cmに、機械と人が通る作業路に両端80cmずつの160cmを、100cmに野菜を植える〈右図〉。このパターンでは同面積で8畝できる。一条植えより1畝分多い2000株のキビと野菜の収穫が見込める。

3.側枝ポット苗の特徴
・発芽率が良く欠株が少ない(従来の側芽苗は欠株率35〜40%、側枝ポット苗は8%)
・保存性が高い
・増殖率が高い
・作業が楽
・低価格
・間作に向く

4.間作の効果
間作だと△能劼戮燭茲Δ縫ビの生産量増加、生産コストの低減、また農薬や殺虫剤の投与回数を減らせる。
間作の野菜に与えられた堆肥や施肥料は、隣畝のキビにも届く。狭い畝で二条植えされても一条植えに劣らず立派に生育するわけだ〈写真1〉。野菜を育てることで土作りが成され、キビにも好影響が出る。生産額が高くないキビに本土の3倍価格といわれる堆肥の投与はコスト的に厳しい。だがこの方法なら克服できる。
キビの畝幅が広くて風通しが良くなり根腐れしない。また、キビの葉が直射日光を和らげ、葉の下の野菜の育ちも良く虫も付かなくなった。「殺虫剤は今までの2割ぐらい」喜ばしい結果だ。

5.間作栽培の条件
・太陽光が当たること
・作物間の肥料吸収の競合を少なくする
・排水が充分であること
・機械作業ができること機械に合わせた品種が求められる。二条植え機械の製品化にメーカー側も動いている。

6.間作栽培の課題
・野菜販路の確立↓流通整備が必要
・収穫、集荷体制の確立
・種苗生産センターを作り、供給体制を整える↓保存設備の完備
・土作り(堆肥施用)
・作物栽培調整期間の設置、インターネットなどを利用した情報収集と活用を図る

1本のキビから200本の苗

「ちょっとおもしろいものを見せましょう」と重春さんが案内したのは、途中からスパッと切られたキビばかりが並ぶ不思議な光景の畑だった。
見れば切り口の側から芽が出ている。「摘心」といって、ある程度の高さから切ると、切った側から3つ以上の芽が生え、その芽を切るとその側からまた芽が生えて…と、これでもかこれでもかとネズミ算式に増えていく。「こうしていくと1本のキビから50〜200本の苗ができるんです」。
これは「サトウキビ種苗大量増殖技術実用化事業」として「高率的な種苗生産・省力化と収益性の向上・自然災害に影響されない計画的な苗作り」を目指し、石垣市農業開発組合が取り組む画期的な事業だ。「芽からウロコ事業」と密かに呼びたい。

八重山農業のつよさ

地理的なことでも、周辺国の農業状況に目を配りながらも、主体性を持って世界を相手にしていかなければならない。とは言っても世界の舞台は追いつめてくるばかりのプロレスのリングではない。新しい展望や夢を紡いでいくきっかけの場になるかもしれない。可能性や突破口がある拍子に見えたら、逃さず挑戦してみよう。
小さな島だから大量生産に向かないと言われて「土地の高度利用」を編み出した。探求心を絶やさず、次々と上等な品種を世に送り出す逞しい農業人から勇気をもらった。
未解決の問題はもちろん多い。農家だけではなく農業の恩恵を受けるすべての人の問題だと自覚することが、突破口に近づく道かもしれない。

(情報やいま1997年8月号より)

 


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